本建物は、昭和42年（1967年）竣工の建設後、約60年経過している建築物です。構造体の耐震補強、断熱補強による室内環境の改善、メンテナンスコストの低減、意匠性の向上、改修後約50年程度使用できる事を目標として設計を行いました。改築する選択肢もありましたが、業務の継続や引越し先の選定が上手くまとまらず、居ながらの設計を選択しました。改修工事の為、解体してみないと分からない事は理解した上で設計を行いましたが、やはり予想外の事が多々ありました。主要構造部分の断面欠損、外壁クラックの多さ、設計条件であったスケルトン天井とするためのスラブ下の補修等があり、契約金額よりも余分に費用が掛かりました。御施主様には事前に増額の打合せはしていたものの、施工の中で何とか増減のバランスをとりましたが吸収することが出来ず、最終的に増額の契約変更をしていただきました。工期についても、居ながら工事であるが故の音の問題からくる社員さんの精神的ストレスや周辺住民からの苦情もあり、工期の延伸も行いました。苦労は多かったものの社員の皆様に喜んでいただけた事に感謝しています。