この計画は、老朽化した幼稚園の建替と、隣接する小学校の増改築及び、間に挟まれた道路の移設をまとめて行い、地域の教育ゾーンを総合的に整備したものです。

幼稚園は、敷地の高低差を利用することにより建物を低く抑え、周辺住宅地の環境に配慮するとともに、歩行者道路から地域の人々が幼稚園の様子を見守ることができ、安全で地域に開かれた幼稚園となるよう計画しました。保育室や遊戯室は園庭を囲んで配置し、廊下を明るく解放的なしつらえとすることで、園庭が身近に感じられ、積極的に外に出て遊びまわることができます。光や風、土や緑、虫や動物、また暑さや寒さといった自然の中で、園児が親から離れた集団生活において、外遊びが楽しく、心とからだが逞しく成長できる環境づくりをめざしました。

小学校は、普通教室（10室）の増築、老朽化した給食室の建替、学童保育施設の増築・改修等を行いました。既存校舎北側に増築する教室を北面に、廊下を南面に設けることで回遊できる動線を確保し、夏期の日射遮蔽と冬期の採光確保を両立させて良好な教室環境を確保しています。渡り廊下や階段の踊り場は、周囲の道路から中の様子がうかがえ、地域の人々が子供たちの様子を認識できることで学校が地域社会より意識され、関心が生まれ、地域コミュニティが育つような学校となることをめざしました。